目黒区立中では前期中間テストが終わりました。大変よい結果を出してくれた人が多かったので、この経験は今後試験対策の参考になると思います。

今回は日々の勉強とは離れて、古生物方面の話をしましょう。

先日、上野の科学博物館へ大哺乳類展を見に行きました。いろいろと新たな知見を得て楽しかったのですが、中でも一番驚いたのは「鯨偶蹄目」という分類が出来ていたことです。最初は印刷ミスなど、何かの間違いかと思ったほどでした。旧来の偶蹄目といえば、陸上の草食動物の大繁栄しているグループで、ウシ、シカ、キリン、ラクダ、カバなどが含まれます。それに対し、今までの鯨目といえば、クジラ、イルカ、シャチなどの仲間ですから、その2つは見た目も食べ物も暮らしぶりも全く共通点がないと言ってよく、これらを一つの目にまとめると言われて私がぶっとんだのも無理はないと理解していただけるでしょう。

私が子供の頃、クジラ類の起源は全く謎で、アシカ、アザラシの類から進化したという説、ジュゴン、マナティなどの系統だという説などがありました。姿、形からはジュゴンなどが近い気もするし、肉食という点ではアシカなどと共通するということで、決定的な証拠(化石など)はなかったのです。

それが、最近の遺伝子解析の手法から、クジラとカバの近縁性が明らかになり、(カバは同じ偶蹄類のウシやキリンよりも、クジラの方が類縁性が強いらしい)従来の偶蹄目、クジラ目を統合した、鯨偶蹄目という新しい目が提唱されて、広く認知され定説となったとのことです。

また、見た目もサイズも犬に似たパキケテスやアングロケタスなどというインド周辺で見つかった5,000万年ほど前の化石動物がクジラの起源だということも明らかになって、水中生活に入る前のクジラの仲間の姿も解明されてきました。

そこまで示されて私もようやく納得したのですが、世の中にはあり得ないようなことが起こるものなのだなと感心したことでした。

カバと類縁性が強いというのも意外ですね。

 白亜紀にユカタン半島に落下した隕石による地球環境の激変によって恐竜が滅びたことは皆知っていると思います。その時、水中生活に適応していた大型爬虫類(モサザウルスなどのような海中の巨大トカゲ、イクチオザウルスなどの魚竜、プレシオザウルスのような首長竜)も滅亡したため、海の中の大型肉食動物という居場所(ニッチ)に空きができました。そこを埋めたのが鯨類だったわけで、他にライバルが少なかったため、足に水かきをつけた犬のような半端な動物が短期間で水中生活に適応したイルカ、クジラのような形態を獲得していったというわけです。

 なかなか考えさせられる不思議な出来事の話でした。このように世の中には身近なことでも驚異の新事実がわかったり、まだ解明されていない謎だったりするものがいくらでもあります。それらの謎の解明の一端でも担うチャンスは皆さんの誰にでも与えられているのです。そう考えるとワクワクしませんか。