これから受験生になる学年の人たち(現在中2や高2の人たち)は、たまたま受験の人たちと同じ教室になると「大変そうだな」「自分もこんなにやれるだろうか」などの感想をもつと思います。受験の学年になったらどうなるのか、どう過ごしたらいいかを簡単に伝えておきましょう。

1.「ゼロ勉強」の日を作らない。
2.自分の集中度を意識し、勉強の内容を選ぶ。
3.一遍にいろいろなことを思い悩まず、目の前にある、やれる課題に集中する。
4.模試などの結果で一喜一憂しない。
5.小さな目標を設定し、達成したら自分にご褒美をあげる。

今回は日々の学習リズムについて、重要な1・2を取り上げます。
  まず、1についてですが、受験学年でない人にとって、家で勉強する時間がゼロという日は(特に公立校に通っている人では)珍しくないとおもいます。受験学年になったら、自宅学習がゼロの日をなくすことを心がけてください。といっても、どうしても勉強しない日はでてきてしまいます。病気で寝込むこともあるでしょうし、転校した昔の友人と久々に会うなどのケースではさすがに机にむかうことは難しいでしょう。だからこそ、自分で一日のスケジュールがコントロールできる日は絶対に机に向かって勉強する時間をひねり出す必要があるのです。週末や、夏休み、冬休みなどは、受験生はどのくらい勉強すればよいのでしょうか、よく1日10時間という話をききますが、さすがにそれは無理だと思います。4~5時間といったところでしょうか。塾や予備校の講習をとっている場合は、そこでの学習+2~3時間でよいと思います。勉強は時間の長短ではなく、やり方と密度です。
 そこで、2について考えます。勉強には、本当に頭をフル回転させて問題に立ち向かう、というものと、どちらかというと頭を使わない、単純作業のようなものとがあります。前者は集中していないと手をつけることすらできませんが、後者はあまり集中力がない時でも、手がけることができます。そして、後者、つまり、単純作業タイプの勉強も、学力向上のためには必要なものなのです。この2種類の勉強を、自分の状態にあわせて使い分けるのが、効率のよい学習法です。やる気が乗っている時に社会のノート整理や漢字練習をやって、それが済んで少し気力が落ちた時に数学の証明問題をやったらどうでしょう。おそらく数学はほとんど進まないと思います。集中力のある時に数学の証明をやり、少し集中力が落ちている時にノート整理や漢字練習のような単純作業をすればよいのです。勉強上手とは、自分の集中力を的確に知って、その時の集中力に応じた勉強をする人です。みなさんも集中力の度合いに応じた勉強メニューを考えてみてください。

 メニューの1例
集中度A (雑音が耳に入らないくらいの状態)
    ・・・ 数学(図形・文章題) 英語(長文) その他難問 入試問題
集中度B (Aほどではないが集中できる)
    ・・・ 国語(長文・古典) 理科1分野
集中度C (まとまった思考ができない状態)
    ・・・ 数学(計算) 英語(単語・小問) 国語(漢字など)社会・理科2分野
集中度D (机にむかっているのも苦しい状態)
    ・・・ こんな時は勉強しないで、心身を休める(頑張れる人は、資料集や地図、年表などをぱらぱら眺める)

 もちろん、学力や、科目の好き嫌いによって、集中力Bでも英語の長文に取り組める人や、集中力Bくらいないと社会に取りかかれない人など、いろいろでしょう。人によってメニューはちがってくるはずです。自分の集中力がわからない人は、数学の計算問題を10題ほどやってみてください。正解率が高ければ集中力が十分あるのだと考えていいでしょう。その時は、まず集中力Aレベルの勉強に取り組む気持ちを作ってみます。そして問題を前にして、「よおし、やるぞ!」と自分を励ましてみます。いつでも集中力Dだったら、と心配している人がいるかもしれませんが、集中力を1時間継続させるという程度なら、誰でも意志の力で作り出せます。