この秋は関東直撃の台風や大雨があり、首里城の焼失、大学英語入試民間テスト導入の迷走など、災難が多かったという印象です。ポジティブな話題があったのはラグビーくらいだったでしょうか。(首里城に関しては15世紀初めの尚巴志王の琉球統一、17世紀の薩摩の侵入と支配、明治初めの琉球処分など、この際勉強しておくのもいいと思います。)

受験生にとっては残り時間を意識しなければ行けない時期になってきました。そろそろ過去問を手掛けるタイミングでもあります。過去問を有効に活用する方針をお伝えしておきます。

①予想問題より過去問
都立高校や、センター入試など、受験者数が多い試験には、過去問と並んで予想問題が販売されます。出題形式など全く本番と同様で、やる価値はもちろんあるとは思いますが、やはり実際の過去問を優先してください。
「過去問と同じ問題は2度と出ないから、予想問題をやる方が合理的だ。」と考える人がいますが、それは間違いです。
予想問題の作成者は実際の問題の作成者とは違うので、微妙なクセが付きますし、実際のテストより心もち難しく作る傾向も見られます。(予想問題で高得点だったのに実際のテストでは酷い結果だった!という苦情が来ないようにするためで、仕方ありません。)

②まず出題傾向の大枠を把握する
 ・解答がマーク式か否か
 ・記述、証明、作文などの出題があるか
 ・英語でリスニングはあるか、発音、アクセント、同音異義語など、特色ある出題はあるか、長文の分量はどれくらいか
 ・国語で古文、漢文、文法、文学史などが出題されるか
などについては、対応する勉強の内容を左右するので、早めに分かっておきましょう。

③本命校より抑えの学校から、年度は古い方から始める
まだ習っていない分野も残っているし、現在はまだ学力が成長しつつあるところなので、本命校の問題に本気で立ち向かう段階にはなっていないからです。古い方から始めるといいましたが、出題傾向の大幅な変化があった場合は、変更前の物はやらなくてよいです。

④時間はしっかり計測して、途中で他のことをやったりしないこと
時間切れになったら、そこから違う色の筆記具に変えて最後まで続行してください。時間内でどこまで点がとれたか、時間さえあったらどんな点になっていたか、両方知っておく必要があるからです。時間切れを経験したらどのタイプの問題を捨てて、どのタイプに時間と労力を集中するか分かってきます。入試は満点を取る勝負ではないので、捨てる問題があっても良いのです。

⑤過去問には直接書き込まない
後で何回の見返す物だからです。見返して「あぁ、この問題はこうやって解くんだったな、ここは注意しないと危ないんだったな・・・」などと、イメージトレーニングすることで、実際戦うときの感覚を身に付けてください。

実際の試験を受けると「過去問と全然違うじゃん!」と感じる人が例年多いものです。本当に大きく出題形式が変わるケースもないわけではありませんが、受験生はナーバスになっているので似ているのに似て見えないという場合が多いのです。「例年と同じパターンだな」と思えたら平常心を保てている証拠で、勝利が見えたようなものと言っていいでしょう。違って見えても、それは多くの人と同じなだけで、過去問で苦労した分の学力は必ずあなたの中に蓄積していますから、気持ちを奮い立たせて戦っていくうちに勝利は見えてきます。